カビの発育について考える その1 水分活性とは?
こんばんはー。シンシーです。
9月は現在の我が家に引っ越してきた月です。
1年が経ちました。
やっと1年か、もう1年か、今となっては分かりませんw
まあしかし、ブログを通じていろいろ発信していたらあっという間と感じている部分が多いでしょうか?
さて、現在の悩みはいつエアコンをoffにするか? です。
もうoffにしても問題ないとは思いますが、なんとなく理由があってoffにしたく、まだ付けています。 (といっても私、実はそんな論理的な人間ではありません。仕事以外は至って気分屋です。あしからずw)
offにする最大の懸念はカビとダニです。
以前も記事にいたしました。(ウイルスの脅威は冬なので・・・)
この中でカビとダニの最適温度および湿度に関しては
でした。
これと人間における不快指数を照らし合わせてみましょう。
これをみるとたとえば24度、70%だと不快指数は73前後になりそうです。
不快指数70以下は心地よいのに70~75は「暑くない」となりますね。
つまり多少でも不快に思った時点で条件が合えばすでにカビとダニは忍び寄っているということになります><
つらいな~ 家の中で心地よいと思わない限りカビとダニは発生しうるという環境になるということですよね?特に高温多湿の夏は!
で、我が家はどうだったかというと・・・
すこし前のデータです。不快指数はこれで75来るか来ないかとなります><
幸い上記のカビ、ダニの最適発育条件には合わない程度になっています。
(湿度がこれでも低いので、カビ、ダニどちらも繁殖にしにくい状態です。)
今回、その中でカビについてすこし調べてみました。
ダニもカビもそうですが、ハウスダストに分類されまして、アレルギーの原因にもなります。どちらも発生は抑えたいですよね。
さて、文部科学省のサイトを見てみました。
博物館などにある資料をカビから守るために文部科学省内で調べられたらしいです。
面白い観点ですね^^
地球が誕生してから僅か3ヶ月間(40~38億年前)で地球最初の生命(原核細胞である嫌気性細菌)が誕生した。続いて5月(約28億年前)に誕生したのが光合成細菌である。この細菌群が太陽光を利用して酸素を10億年間作り続け、7月頃(約18億年前)にやっと現在の大気の酸素濃度と同じ状態になり真核生物が誕生した。さらに、これら真核生物が進化を続け、9月頃(約10億年前)に酵母やカビが誕生し、多細胞生物へと進化した。脊椎動物は12月頃(約4億年前)に誕生している。したがって、人類の歴史に比較して気の遠くなるほどの長い年月を経、地球環境の変化や様々な淘汰を乗り越えて現在まで生き続けてきたのが微生物である。言い換えると、微生物は現在の多様性に富む全ての生物の祖先でもある。細菌やカビは地球上に存在するほとんど全ての有機物や無機物を分解し、栄養源として利用し、これまで生き続けてきた。その結果、現在の美しい地球環境が保たれていると言っても過言でない。さらに、微生物は多種多様の恵み(発酵食品、抗生物質、ビタミン、アミノ酸、医薬品、酵素、各種有機酸および廃水処理等)を人類にもたらしている。
地球誕生から話が始まります。なんと壮大!!w
そして私が最も興味のある内容がでてきます。
湿度とカビとの関係です。
2-1 カビの生育環境
<水分>
微生物の生育に水分が不可欠であり、水が全く存在しない環境では全ての微生物が生育不可能である。物質中に含まれている水は通常は遊離水(自由水)、結晶水、水素結合水、水和水(タンパク質、糖質、脂質、その他との水和)および氷の状態で存在しているが、微生物が利用可能な水分は自由水のみである。すなわち自由水とは、環境の温度、湿度の変化で容易に移動、蒸発および氷結が起こる水である。自由水が減少すると生育速度の低下や生育が停止するなど自由水は微生物の増殖に非常に重要な因子となっている。自由水を定量的に表す指標として水分活性(Aw:water activity)が用いられている。Awは本によってはawと記載されている場合もある。
実際の測定は試料を入れた密閉容器内が平衡状態に達した時の湿度(平衡相対湿度:ERH、Equilibrium Relative Humidity)を測定することにより水分活性を求めることができる。
すなわち、試料を入れた密閉容器内の平衡相対湿度が90パーセントならば、Awは0.9となる。
いったん抜粋おわり。
さて、物質、生体ごとに水分活性がありAwと表記され、その値は平衡相対湿度がわかれば求めることができるとのことです。
まず平衡相対湿度(ERH)がなんなのか?この会社のHPから抜粋すると・・・
ERHとは空気とその近傍のどの物質とも水分の交換が無い状態の空気の相対湿度を言います。つまりERHはサンプルの安定した状態を取り巻く環境の相対湿度とも言えます。
とあります。別の言い方をするとERHを超えた湿度になるとその物質内に水分が取り込まれるということです。たとえばカビでは、カビにはカビ固有のERHがあり、それを超えるとカビの体内に水が取り込まれ増殖すると言えそうです。この場合のERHを表記を変えて水分活性と言います。
なぜこの表記が大事かといえば一般的に相対湿度で考えると湿度100%を超えると空気中に存在する水分が液体として出てくる、つまり結露するのですが、そうなると液体として水が出てきてカビが増えるわけです。しかし結露する前から水分の湿気がカビの体内に移動する相対湿度が存在します。この相対湿度が、このカビにおける平衡相対湿度であり、水分活性が得られる湿度となります。
結露だけ心配するのであれば湿度100%にならないようにすればいいですよね? だけど残念ながらそれより低い湿度でカビは増えちゃうわけです。結露した水分がないのに!
結露しなくても水分が空気からカビに移ってしまう。あぁつらい><
細菌、酵母、カビの増殖に必要な最低Awは、表2に示すように細菌類は一般に高いAwを必要とするが、酵母ではそれよりやや低いAwである。しかしながら、特に耐浸透圧性酵母(塩分の多い環境でも生育可能)は0.61とかなり低い。カビは酵母よりもやや低めのAwであるが、特に乾性カビ(好乾菌)は微生物の中でも最も低いAw環境で生育可能である。博物館等での保管資料にはこの分野のカビが問題となる。次にAwが低くなるとカビ胞子がサブロー寒天培地(カビ培養用培地)上で発芽に要する時間(日数)にどのように影響するのかを図5に示した。クモノスカビや黒コウジカビの胞子はAwが低い場合には発芽に要する時間が長くなる。低いAwでも生育の可能な黒コウジカビでもAwが0.8以下になると極めて発芽し難くなる。
通常では対象とする物質のAwを0.6以下に保持するとカビは全く生育できない。これを維持するために環境の相対湿度を温度変化に拘わらず常に60パーセント以下に保つことが必要である。
抜粋おわり。
何個か興味深い内容が入っており色を赤に変えておりますが、結論を知りたい人は一番下の文章でしょう。結局相対湿度を60%以下にするとカビは発育しないと言っています。
上記に挙げた私のブログ記事と同じ結論です。
以下にAw一覧表も載せておきます。
表2 微生物の生育可能な最低Aw
Aw | ||
---|---|---|
細菌 | 緑膿菌、床ずれの原因菌(Pseudomonas aeruginosa) | 0.97 |
大腸菌(Escherichia coli) | 0.95 | |
枯草菌、納豆菌の仲間(Bacillus subtilis) | 0.95 | |
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) | 0.86 | |
酵母 | カンジダ、カンジダ症の原因菌(Candida albicans) | 0.94 |
アルコール発酵酵母(Saccharomyces cerevisiae) | 0.89 | |
耐浸透圧性酵母、醤油の熟成酵母(Saccharomyces rouxii) | 0.61 | |
カビ | ケカビ、アミロ菌(Mucor rouxii) | 0.93 |
クモノスカビ(Rhizopus nigricans) | 0.94 | |
青カビ(Penicillium citrinum) | 0.83 | |
黒麹カビ(Aspergillus niger) | 0.88 | |
乾性カビ、好乾菌(Aspergillus repens) | 0.65 | |
乾性カビ、好乾菌(Aspergillus ruber) | 0.65 |
これを見るとそのほとんどは80%以上ですね~
すべてをとらえると60%なので気をつけましょう。
今回はすこし難しかったですかね><
実は私はずっともう一つ分からないことがあります。
なぜカビの発育に相対湿度が大事なのか?? です。
絶対湿度でない理由も調べましたが、それはまたにしましょ^^
↓内容が良かったときにはポチッをお願いします~